雪国の楮は、5月頃に雪が消える。そして楮のカブが出てきて、温かくなると新芽が出てきます。新芽が出てきたら、畑全体に石灰窒素をまいて、表面を削るように耕します。そして楮のカブ周辺に鶏糞をまいてあげます。
楮の靭皮繊維を使うため、皮を剥ぐときに、枝木が出ているとそこから裂けて一枚の皮になりません。
その為、育てる中で枝木になる芽を取り除く作業をします。そうする事により真っ直ぐな一本の木に成長します。
写真の幹と葉っぱの間から出ているのが枝木になる芽です。出始めに摘まないと、固くなってしまうので成長期の7月8月は大変な作業です。
11月中旬になると刈取りです。
楮を専用で刈る鎌がありその鎌で刈り取ります。
刈り取る時に楮の太さに分けてある程度の束にします。
束をその後、チェンソーで短く切って皮引きの時に剥きやすい長さにします。
刈り取った楮を、90㎝切って蒸します。
そうすると、原料になる皮が剥けやすくなります。
蒸し上げてから、水分が抜けない内に皮を剥きます。
時間との勝負なので人手が必要な作業です。
皮を剥いたら、包丁を使って皮引きです。名前の通り皮を引く方法もありますが私は、包丁の方を動かして削ります。芽かきで飛び出しているイボを切ってから皮を削ります。
表面を削った楮を、雪の上で並べて太陽の陽射しに当てます。
日光による漂泊と雪から出るオゾンの影響で自然漂白されます。漂泊された皮は、未晒し原料と一緒で乾燥します。
未晒しは、そのまま皮を乾燥して保存します。ストーブや扇風機などで風を当てながら乾かします。
トロロアオイは、五月末に種をまいて育てます。
育てる時には、花が咲くと栄養が根に行かないので蕾の状態で摘んであげます。
そうする事により、太い根っこが育ちます。
11月まで育てて、その後根っこと茎の部分を分けて、根っこのみ使います。
根っこは、クレゾール液に漬けて保管します。
使うときは、根っこを潰します。潰すとネバネバする部分が出てきて水に漬けておくと、水を含んで粘液が出来ます。この粘液を紙漉きの時に混ぜて使用します。
乾燥して保存していた楮を、水に漬けて皮を戻します。(紙煮の前日に)
戻した皮は、煮る前に水の中で洗いその後、大釜で煮ます。
お湯の中には、アルカリ成分を入れて煮る事により繊維と繊維を繋いでいる成分を溶かしだすことにより、繊維を取り出します。役3時間位煮たら皮を取り出します。
煮た皮をそのままだとアルカリ性なので、また繊維をくっ付けていた成分が溶け出していますので洗う作業をします。何度か水を入れ替えながら水の中で皮を泳がせます。
最初は、茶色い水ですが段々と水が澄んできて綺麗になります。
綺麗に皮引きしても、小さいチリは皮の中にありますので泳がせてみます。
昔は、こん棒の様な物で少しづつ叩いてほぐしましたが、現在は機械を使って叩いています。回転しながら叩いてほぐして行きます。
打開でほぐした繊維を撹拌します。
水の中で叩いてほぐす作業です。ミキサーのイメージです。刃の形がナギナタの形状をしているのでナギナタビーターと言います。
刃先は切れるようにはできてなく、丸まっています。ほぐれたら水を抜きます。
紙漉きです。
簀桁を使い、紙を抄き上げていきます。漉いた和紙は、一枚づつ重ねていてどんどん積んでいきます。漉きあげた和紙の塊をクレ(一般的には紙床と言います。)と言いその塊を軽い重しをして一晩位軽く水を切ります。
前日から、軽い重しで水を切っていましたが翌日は、ジャッキを使って水を切ります。
ジャッキはゆっくりと時間をかけて水を切って行きます。
水を含んだ状態は、とても柔らかい状態なので少しづつ圧をかけていきます。
そうしないと、紙が型崩れしてしまいます。
水を抜いたら一枚づつ和紙を鉄板に貼って行きます。
鉄板は60℃位の設定でお湯を循環させていますので鉄板も同じ温度です。
貼っていると10分位で乾いていきます。
乾いたら剥がして検品して完成です。